実家が、あるいは大切な家族の家がゴミ屋敷になってしまった時、多くの人は衝撃と共に、どうすればいいのかという深い悩みに直面します。心配や怒りから「なぜ片付けないのか」「みっともない」と一方的に責めてしまうこともあるでしょう。しかし、そのアプローチは、かえって当事者の心を閉ざさせ、状況を悪化させる可能性があります。ゴミ屋敷の背景には、孤独、病気、精神的なストレスなど、本人だけでは解決が難しい根深い問題が隠れていることが少なくありません。まず大切なのは、相手を非難するのではなく、その状況に至った背景を理解しようと努める姿勢です。まずは本人の話に耳を傾け、「何か困っていることはないか」「つらい思いをしていないか」と、その心に寄り添うことから始めましょう。本人がモノを捨てられないのは、それらが本人にとっては何らかの価値や安心感をもたらしているからです。その気持ちを無視して強制的に片付けを進めることは、本人の尊厳を傷つけ、信頼関係を破壊する行為になりかねません。焦らず、まずは安全な生活空間を確保することを目標に、小さな一歩を提案してみるのが良いでしょう。例えば、「まずは玄関の通り道だけ確保しないか」「キッチンで火事が起きると危ないから、コンロ周りだけ片付けよう」といった具体的な提案です。その際も、本人の意思を尊重し、一緒に作業することが重要です。捨てるかどうかの判断は本人に委ね、家族はあくまでサポート役に徹します。この問題は家族だけで抱え込まず、地域包括支援センターや精神保健福祉センター、片付けの専門業者といった外部の専門機関に相談することも非常に有効です。専門家の介入により、心理的なケアや適切な福祉サービスに繋がることもあります。最も重要なのは、家族が最後まで味方であり続けること。その安心感が、本人が一歩を踏み出すための最大の力となるのです。
家族がゴミ屋敷に住む時どう向き合うべきか