ゴミ屋敷の不快な臭いはどこから来る
ゴミ屋敷と聞いて多くの人が連想するものの一つに、強烈な悪臭があります。この鼻をつく不快な臭いは、決して単一の原因から発生しているわけではなく、様々な要因が複合的に絡み合って生み出されています。その主たる原因として挙げられるのが、生ゴミや食品の腐敗です。食べ残しや賞味期限切れの食品、調理くずなどが長期間放置されると、微生物が繁殖し、分解過程で硫化水素やアンモニア、メチルメルカプタンといった強烈な臭いを持つガスが発生します。特に夏場など気温が高い時期は、腐敗の進行が早く、臭いもより一層強くなります。また、飲み残しの飲料や液体がこぼれたまま放置されることも、カビや雑菌の温床となり、酸っぱいような、あるいはカビ臭いような特有の臭気を放ちます。湿気も悪臭の大きな要因です。ゴミが積み重なることで通気性が悪くなり、湿気がこもりやすくなります。湿った環境はカビの繁殖に最適であり、壁や床、家具、衣類などに付着したカビが、特有のジメジメとした不快な臭いを発します。さらに深刻なケースでは、ペットの排泄物が適切に処理されずに放置されている場合や、住人が病気などの理由で失禁してしまい、その処理が追いつかない場合もあります。尿に含まれるアンモニアなどが分解されることで、強烈な刺激臭が発生し、部屋全体の臭いを悪化させます。ホコリや汚れが蓄積すること自体も、古びたような、淀んだような臭いの原因となります。これらの様々な臭いが混ざり合い、ゴミ屋敷特有の、耐え難い悪臭が形成されていくのです。