完璧を求めすぎて動けない心理

一見すると矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、ゴミ屋敷を生み出す心理的要因の一つに「完璧主義」があります。完璧主義の傾向が強い人は、物事を中途半端な状態で終わらせることを嫌い、やるからには徹底的に、完璧にやり遂げたいと考えます。この思考様式が、ゴミ屋敷の片付けにおいては、逆に大きな障壁となることがあるのです。目の前に広がる膨大なゴミの山を前にしたとき、完璧主義者は「全てを一度に、完璧に片付けなければならない」というプレッシャーを自分自身に課してしまいます。しかし、ゴミ屋敷の片付けは、通常、一朝一夕に終わるものではありません。時間も労力もかかる大変な作業です。「完璧にできないのなら、最初からやらない方がましだ」と考えてしまい、結局、第一歩を踏み出すことすらできなくなってしまうのです。また、どこから手をつければ最も効率的か、どのように分類すれば最も合理的かなどを考え始めると、その計画段階で悩み続け、行動に移せなくなることもあります。さらに、完璧主義者は失敗を極度に恐れる傾向があります。片付けを始めてみたものの、思ったように進まなかったり、途中で挫折してしまったりすることを恐れ、行動をためらいます。この「失敗への恐怖」が、現状維持という選択を強化してしまうのです。結果として、「いつか時間ができたら」「もっと気力が湧いたら」と先延ばしにし続け、その間にゴミはさらに増え、状況は悪化の一途をたどることになります。ゴミ屋の前では、完璧を目指すのではなく、「まずは少しでも手をつける」「完璧でなくても良いから、できる範囲で進める」という柔軟な考え方を持つことが、状況を打開するための鍵となります。

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Posted by L9rHh