ゴミ屋敷から発生する悪臭は、その家に住む人だけの問題にとどまらず、しばしば近隣住民との深刻なトラブルの原因となります。窓を開けていなくても、あるいは玄関が閉まっていても、強烈な臭いは壁や隙間を通り抜けて周囲に漏れ出し、隣近所の生活環境を脅かすことがあります。特に集合住宅など隣家との距離が近い場合、その影響は顕著になります。隣の家から漂ってくる不快な臭いのために、自宅の窓を開けられない、洗濯物を外に干せない、庭で過ごせないといった具体的な被害が生じることがあります。このような状況が続けば、近隣住民のストレスは増大し、不満が募っていくのは当然のことです。最初は我慢していたとしても、限界に達すれば直接苦情を言いに来たり、管理会社や自治会に相談したりといった行動に出るでしょう。しかし、ゴミ屋敷の住人自身が問題を認識していなかったり、解決する意欲や能力がなかったりする場合、話し合いは平行線をたどり、関係はさらに悪化してしまいます。感情的な対立が深まると、嫌がらせに発展したり、訴訟などの法的な問題にまでエスカレートしたりするケースも少なくありません。悪臭問題は、景観の悪化や害虫の発生といった他の問題と複合的に発生することも多く、地域全体の住環境を悪化させる要因ともなり得ます。ゴミ屋敷の住人にとっては、近隣からの苦情や非難が、さらなる孤立感や精神的な負担となり、問題解決を一層困難にしてしまうという悪循環に陥ることもあります。悪臭は、単なる臭いの問題ではなく、人間関係や地域社会との繋がりをも破壊しかねない、深刻な問題であることを認識する必要があります。