数年前まで、私の部屋はゴミ屋敷と呼ぶしかない状態でした。仕事のストレスや私生活での悩みが重なり、気づけば部屋は脱ぎ捨てた服やコンビニの袋、読み終えた雑誌などで埋め尽くされ、床が見える場所はほとんどありませんでした。最初は少し散らかっている程度だったのが、いつしかゴミをゴミ箱に捨てることすら億劫になり、物が物を呼ぶ悪循環に陥っていたのです。友人を家に呼ぶこともできず、自己嫌悪に陥る日々でした。そんな私が自力での片付けを決意したのは、ある日、床に落ちていた古い写真を見つけたことがきっかけです。楽しそうに笑う自分の姿を見て、こんな部屋でうずくまっている場合じゃない、昔のような前向きな自分を取り戻したいと強く思いました。しかし、決意はしたものの、目の前の惨状を前に何度も心が折れそうになりました。どこから手をつけていいか分からず、ただ呆然と立ち尽くすこともありました。そこで私は、一日十五分だけ片付けるというルールを設けました。タイマーをセットし、時間になったらどんなに中途半端でも作業をやめる。これなら続けられるかもしれないと思ったのです。最初は玄関から始めました。靴を揃え、不要なDMを捨てる。たったそれだけでも、少しだけ空間が生まれた気がしました。翌日はキッチンのシンク周り、その次はベッドの周りというように、少しずつ範囲を広げていきました。ゴミ袋がみるみるうちに増えていく様子は、達成感と同時に、これだけの物を溜め込んでいたのかという愕然とした気持ちにもなりました。それでも、毎日続けるうちに、部屋が少しずつ変わっていくのが分かりました。床が見えるようになり、窓からの光が部屋の奥まで届くようになった時の感動は忘れられません。数ヶ月かかりましたが、最終的に私は自力でゴミ屋敷を脱出することができました。あの時の決断と、小さな一歩を続けた自分を今は誇りに思っています。