現代社会は、多くの人にとって非常に忙しい時代です。長時間労働、通勤ラッシュ、育児や介護との両立…。心身ともに余裕のない日々を送っていると、気づかないうちに部屋が散らかり始め、それがゴミ屋敷化への「きっかけ」となってしまうことがあります。「忙しくて片付ける時間がない」というのは、汚部屋やゴミ屋敷の住人からよく聞かれる言い分ですが、これは決して単なる言い訳ではない場合が多いのです。朝早くから夜遅くまで働き、家に帰れば食事の準備や入浴、最低限の家事をこなすだけで精一杯。休日は溜まった疲れを取るために寝て過ごしたり、平日にできなかった用事を済ませたりすることで終わってしまう。そんな生活が続けば、部屋の掃除や整理整頓にまで手が回らなくなるのは、ある意味当然のことかもしれません。最初は、「週末にまとめて片付けよう」と思っていても、その週末が来る頃には疲労困憊で、結局先延ばしにしてしまう。あるいは、少し片付け始めても、あまりの散らかり具合に途方に暮れ、「また今度にしよう」と諦めてしまう。この繰り返しの中で、部屋は少しずつ、しかし確実に荒れていきます。物が定位置に戻されなくなり、床に物が散乱し始め、ホコリが溜まり、ゴミ箱から溢れたゴミがそのまま放置されるようになる。そして、部屋が散らかっている状態が常態化すると、さらに悪循環が生まれます。散らかった部屋は、探し物が見つからなかったり、効率的に動けなかったりするため、かえって時間的なロスを生み、忙しさに拍車をかけることがあります。また、荒れた部屋で過ごすことは、精神的なストレスにも繋がります。「片付けなければ」という焦りや罪悪感が常に心の片隅にあり、家にいても心が休まらない。このストレスが、さらに気力を奪い、片付けへの意欲を削いでしまうのです。多忙が原因で部屋が荒れてしまうのは、本人のキャパシティを超えた負担がかかっているサインとも言えます。解決のためには、単に根性で片付けるのではなく、仕事の仕方を見直したり、家事の負担を減らす工夫(家事代行サービスの利用、家族との分担など)をしたり、あるいは意識的に休息の時間を確保するなど、生活全体のバランスを取り戻すことが根本的な対策となるでしょう。
忙しすぎると部屋は荒れる?多忙が生む悪循環