かつて私の部屋は、モノという名の要塞でした。床は見えず、窓からの光もモノの山に遮られ、まるで洞窟のようでした。そこは私を守ってくれる唯一の場所だと信じていましたが、同時に私を社会から隔絶する牢獄でもありました。きっかけは、一本の電話でした。心配した遠方の姉が、行政の相談窓口を教えてくれたのです。誰かにこの惨状を知られるのは死ぬほど恥ずかしかったけれど、このままではいけないという気持ちが、ほんの少しだけ恐怖を上回りました。初めて相談員の方が家に来た日、私は泣きながら謝ることしかできませんでした。しかし、彼は私を責めることなく、「大変でしたね」と静かに言ってくれました。その一言で、心の氷が少しだけ溶けた気がします。片付けは、専門の業者さんと、そして姉と三人で、数ヶ月かけて行いました。一つ一つのモノと向き合うのは、自分の過去の失敗や後悔と対峙するようで、つらい作業でした。でも、「これはもう役目を終えたね、ありがとうって言ってお別れしよう」という姉の言葉に支えられ、少しずつ手放すことができるようになりました。全てのモノが運び出され、がらんとした部屋に立った時、私は呆然としました。こんなに広かったのかと。壁や床が剥き出しになった空間は、少し心細くもありましたが、同時に、淀んでいた空気が入れ替わったような、清々しい気持ちで満たされていました。それから私の生活は一変しました。朝、窓から差し込む光で目覚めることができる。キッチンで料理を作り、テーブルで食事ができる。当たり前のことが、これほど幸せだとは思いませんでした。一番の変化は、心に余裕ができたことです。モノを管理するために使っていたエネルギーが解放され、新しいことに挑戦する意欲が湧いてきました。今では、時々友人を招いてお茶を飲みます。私の部屋はもう要塞ではありません。私の人生を、豊かに彩るためのキャンバスなのです。
ゴミ屋敷を克服した私の心境の変化と新しい暮らし