ゴミ屋敷問題で訴訟を考えるほど悩んでいる場合でも、いきなり裁判を起こすのは得策とは言えません。訴訟は時間、費用、そして精神的な負担が非常に大きく、近隣関係を決定的に悪化させる可能性もあります。そのため、訴訟に踏み切る前に、段階を踏んで解決を試みることが重要です。まず第一段階として考えられるのは、当事者間での「直接の話し合い」です。感情的にならず、冷静に、困っている具体的な内容(悪臭、害虫など)と、どうしてほしいか(片付けてほしい、清掃してほしいなど)を伝えましょう。相手にも事情があるのかもしれません。頭ごなしに非難するのではなく、相手の状況にも耳を傾ける姿勢が、解決の糸口になることもあります。ただし、相手が話し合いに応じない、あるいは逆上するような場合は、無理に続ける必要はありません。次のステップとして、「書面による通知」が考えられます。特に「内容証明郵便」を利用すると、いつ、誰が、どのような内容の文書を送ったかを郵便局が証明してくれるため、後々の証拠として役立ちます。要求事項(例:〇月〇日までにゴミを撤去してください)を明確に記載し、改善が見られない場合は法的措置も検討する旨を伝えることで、相手に対応を促す効果が期待できます。直接の交渉が難しい場合や、より穏便な解決を目指したい場合は、「第三者を交えた話し合い」も有効です。自治会の役員やマンションの管理組合などに相談し、間に入ってもらうことで、客観的な立場からの説得や調整が期待できます。それでも解決しない場合、裁判所の「民事調停」を利用するという方法があります。調停は、裁判官と一般市民から選ばれた調停委員が間に入り、当事者双方の言い分を聞きながら、話し合いによる合意(調停成立)を目指す手続きです。訴訟に比べて費用が安く、手続きも比較的簡単で、非公開で行われるためプライバシーも守られます。調停で合意に至れば、その内容は判決と同じ効力を持ちます。ただし、相手が調停に出席しない場合や、話し合いがまとまらない場合は、調停不成立となり、次の手段(訴訟など)を検討することになります。このように、訴訟という最終手段に至る前に、段階的なアプローチを試みることで、より円満かつ早期の解決を図れる可能性があります。
訴える前に試すべき!話し合いから調停へ